任天堂株式会社と株式会社ポケモンは、2024年9月18日、『Palworld / パルワールド』を開発・販売する株式会社ポケットペアに対し、特許権侵害訴訟を東京地方裁判所に提起しました。
この記事では、任天堂・株式会社ポケモンが侵害を主張している特許や請求内容、訴訟を受けて変更された『パルワールド』の仕様について、公開されている情報をもとに分かりやすく解説します。
※この記事は、2024年9月に公開した内容をもとに、対象特許の判明や『パルワールド』の仕様変更、その後の訴訟状況を反映して、2026年8月に大幅に加筆・修正しています。
※各社の公式発表や公開されている特許公報などをもとに作成しています。筆者は法律・特許の専門家ではありません。
※記事の構成整理および文章の加筆・修正には生成AIを補助的に使用し、筆者が公式発表や特許情報を確認したうえで内容を編集しています。
任天堂・株式会社ポケモンがポケットペアを提訴
『Palworld / パルワールド』は、株式会社ポケットペアが開発するオープンワールド・サバイバルクラフトゲームです。
広大な世界に生息する不思議な生物「パル」を捕まえ、戦闘や建築、農業、生産などを行わせることができます。
2024年1月19日にSteam・Xbox向けの早期アクセス版が配信され、大きな注目を集めました。
その後、任天堂株式会社と株式会社ポケモンは2024年9月19日、前日の9月18日に株式会社ポケットペアを特許権侵害で東京地方裁判所に提訴したことを発表しました。
両社は、『パルワールド』が複数の特許権を侵害しているとして、侵害行為の差止めと損害賠償を求めています。
訴訟の概要
- 原告:任天堂株式会社、株式会社ポケモン
- 被告:株式会社ポケットペア
- 提訴日:2024年9月18日
- 裁判所:東京地方裁判所
- 対象:『Palworld / パルワールド』
- 請求内容:侵害行為の差止め、損害賠償など
ポケットペアが2024年11月に公表した内容によると、任天堂と株式会社ポケモンは、それぞれ500万円と遅延損害金の支払いを求めています。
公表されている損害賠償請求額は、合計1,000万円です。
著作権ではなく「特許権」の侵害が争点
『パルワールド』をめぐっては、登場するパルのデザインやゲームの雰囲気が『ポケットモンスター』シリーズに似ているという意見も見られます。
ただし、今回の訴訟で直接争われているのは、キャラクターデザインの著作権や商標権ではありません。
ゲーム内の操作や処理に関する「特許権」の侵害が主な争点です。
そのため、
- パルのデザインがポケモンに似ているか
- 作品全体の雰囲気が似ているか
- ゲームシステムが対象特許の権利範囲に含まれるか
これらは分けて考える必要があります。
対象となった3件の特許
提訴当初、任天堂と株式会社ポケモンは、侵害されたとする具体的な特許番号を明らかにしていませんでした。
その後、ポケットペアは2024年11月8日、訴訟の対象となっている3件の特許を公表しました。
| 特許番号 | 出願日 | 登録日 | 大まかな内容 |
|---|---|---|---|
| 特許第7493117号 | 2024年2月26日 | 2024年5月22日 | フィールド上で、捕獲用アイテムを投げる操作と、戦闘キャラクターを出す操作を切り替える処理など |
| 特許第7528390号 | 2024年3月5日 | 2024年7月26日 | 地上・水上・空中などを移動する搭乗キャラクターを、状況に応じて切り替える処理など |
| 特許第7545191号 | 2024年7月30日 | 2024年8月27日 | 捕獲用アイテムまたは戦闘キャラクターを構え、照準方向へ放つ操作・処理など |
捕獲と戦闘に関する特許
特許第7493117号と特許第7545191号は、いずれもフィールド上にいるキャラクターに対する操作や処理に関係する特許です。
公報には、照準を合わせて捕獲用アイテムを放ち、捕獲に成功した場合は対象キャラクターをプレイヤーが所有する状態にする処理が記載されています。
また、捕獲用アイテムではなく戦闘キャラクターを放った場合は、フィールド上で戦闘を開始する仕組みなども含まれています。
『Pokémon LEGENDS アルセウス』では、フィールド上のポケモンに直接モンスターボールを投げて捕獲したり、手持ちのポケモンを出して戦闘を開始したりできます。
一方、『パルワールド』にも、スフィアを投げてパルを捕獲する仕組みや、パルをフィールド上に出して戦わせる仕組みがあります。
こうした操作や処理が、対象特許の権利範囲に含まれるかどうかが争点のひとつと考えられます。
搭乗キャラクターに関する特許
特許第7528390号は、プレイヤーが所有するキャラクターなどに搭乗して、仮想空間を移動する仕組みに関する特許です。
公報では、地上・水上・空中など、それぞれの場所に対応した搭乗対象へスムーズに切り替える処理が説明されています。
たとえば、プレイヤーが空中にいるときに特定の操作を行い、空中を移動できるキャラクターへ搭乗する処理などが含まれます。
3件はいずれも分割出願された特許
対象となった3件の特許は、もともと存在していた特許出願から、発明の一部を分けて出願した「分割出願」によって成立しています。
ひとつの特許出願に複数の発明が含まれている場合などに、その一部を分けて新しい特許として出願する制度です。一定の条件を満たせば、分割前の出願日を基準として扱うことができます。
対象特許の出願日は2024年ですが、関連する出願の優先日は2021年12月22日となっています。
そのため、単純に「『パルワールド』の発売後に新しく考えられた特許」と断定することはできません。
関連する特許出願は、ファンメイド作品などを理由に拒絶査定
一方で、任天堂株式会社と株式会社ポケモンが共同出願していた関連特許「特願2026-019762」について、特許庁は2026年7月7日付で拒絶査定を出しました。
この出願は、タッチスクリーンを備えたゲーム機器において、フィールド上のキャラクターに捕獲用アイテムを投げ、捕獲したキャラクターを戦闘中に呼び出す操作などに関する分割出願です。
特許庁は、2013年にYouTubeへ投稿されたファンメイドゲーム『Pokémon Generations』のプレイ動画などを先行技術として挙げ、出願内容には進歩性が認められないと判断しました。
任天堂側は、引用されたファンメイド作品が著作権を侵害していることや、動画だけではゲームプログラムの技術内容を把握できないことなどを主張しました。
これに対して特許庁は、著作権侵害の有無は、特許における進歩性の判断には影響しないとして、任天堂側の反論を認めませんでした。
ただし、今回拒絶された特願2026-019762は、パルワールドに対する訴訟で直接行使されている3件の登録特許とは別の出願です。
そのため、この拒絶査定によって訴訟対象の特許が無効になったわけではなく、任天堂・株式会社ポケモンとポケットペアの訴訟が終了したわけでもありません。
なお、出願人は拒絶査定に対して、所定の期間内に拒絶査定不服審判を請求することができます。
ポケットペアは特許の侵害を争う姿勢
ポケットペアは、任天堂と株式会社ポケモンから訴訟を提起されたことを受け、必要な対応を行うと発表しました。
2024年11月の発表では、対象となる3件の特許と請求内容を公表したうえで、今後の法的手続きにおいて同社の立場を主張していくとしています。
さらに2025年5月には、現在も特許侵害の主張を争っており、対象特許の無効も主張していることを明らかにしました。
訴訟を受けて『パルワールド』の仕様を変更
ポケットペアは、訴訟による開発・販売への影響を避けるため、『パルワールド』の一部仕様を変更しています。
スフィアを投げてパルを出す操作を変更
2024年11月30日に配信されたアップデート「v0.3.11」では、パルスフィアを投げた場所にパルを呼び出す操作が削除されました。
変更後は、パルがプレイヤーの近くに直接出現する方式になっています。
ポケットペアは2025年5月、この変更が訴訟の影響によるものだったと正式に説明しました。
パルによる滑空方法も変更
アップデート「v0.5.5」では、パルそのものにつかまって滑空する方式から、グライダーを使用して滑空する方式へ変更されました。
対象となるパルは、グライダーによる滑空を強化する補助効果を持つ形になっています。
ポケットペアは、ゲームの開発や配信が妨げられることを避けるために、これらの変更が必要だったと説明しています。
2026年現在、訴訟はどうなっている?
2026年7月末時点で、任天堂・株式会社ポケモン・ポケットペアの公式サイトでは、判決や和解の成立を知らせる発表は確認できません。
弁理士による公開情報の整理では、2026年7月時点でも東京地方裁判所で審理が続いており、判決・和解・差止命令はいずれも出ていないとされています。
ただし、『パルワールド』ではすでに複数の仕様変更が行われており、訴訟が実際のゲーム開発や操作方法に影響を与えていることは確かです。
今後は、
- 対象特許が有効と判断されるのか
- 旧仕様の『パルワールド』が特許権を侵害していたと判断されるのか
- 差止めや損害賠償について、裁判所がどのように判断するのか
といった点が注目されます。
個人的な見解
任天堂と株式会社ポケモンが、自社で開発・保有する知的財産を守るため、司法の場で判断を求めること自体は理解できます。
一方で、特許権を侵害しているかどうかは、ゲームの見た目や印象だけで決められるものではありません。
対象となる特許の権利範囲と、『パルワールド』で実際に行われていた処理を比較したうえで、裁判所が判断することになります。
また、パルとポケモンのデザインが似ているという議論も気になるところではありますが、今回の特許権侵害訴訟は別の問題です。
個人的には、どちらか一方が全面的に正しいと決めつけるのではなく、裁判所が対象特許の有効性や侵害の有無をどのように判断するのか、今後の動きを見守りたいと思います。
今回の裁判は、任天堂やポケットペアだけでなく、ゲーム内の操作やシステムをどこまで特許で保護できるのかという点でも、ゲーム業界に影響を与える可能性があります。
まとめ
- 任天堂と株式会社ポケモンは、2024年9月18日にポケットペアを特許権侵害で提訴
- 争点はキャラクターデザインの著作権ではなく、ゲーム内の操作・処理に関する特許権
- 対象となっている特許は、第7493117号・第7528390号・第7545191号の3件
- 任天堂と株式会社ポケモンは、『パルワールド』の差止めと合計1,000万円の損害賠償などを請求
- ポケットペアは特許侵害を争いながら、パルの召喚方法や滑空方法を変更
- 関連する分割出願「特願2026-019762」は、ファンメイド作品などの先行技術を理由に拒絶査定を受けた
- 2026年8月時点では、判決や和解の成立は公表されていない
今後、新たな公式発表や裁判の進展が確認できた場合は、随時追記します。
以上、ご参考まで。
(1)任天堂株式会社|株式会社ポケットペアに対する特許権侵害訴訟の提起について
URL:https://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2024/240919.html
(2)株式会社ポケットペア|当社に対する訴訟の提起について
URL:https://www.pocketpair.jp/news/news16
(3)株式会社ポケットペア|特許権侵害訴訟に関するご報告
URL:https://www.pocketpair.jp/news/report-on-patent-infringement-lawsuit/
(4)株式会社ポケットペア|訴訟と『パルワールド』の仕様変更について
URL:https://www.pocketpair.jp/news/regarding-the-lawsuit-changes-to-palworld-and-the-future/
(5)J-PlatPat 特許情報プラットフォーム
URL:https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

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