皆さんの周りで学生時代の友人から「独立して起業するから仕事を手伝わないか」と声をかけられた経験はありませんか。
- 「面白そうだから手伝おう」
- 「友達の頼みだしな…」
- 「いまの仕事に不満があるしこれはチャンス?」
- 「やりたい分野の仕事だからやりたい」
- 「”友達と一緒に仕事をして成功した”という話もあるし」
という夢物語を描いているなら後悔しますよ。
この記事では、私の実体験をもとに「起業した友達と一緒に仕事をして失敗した理由」について紹介します。
※当時のやり取り・様子など私の体験をそのまま記載しているため、人によっては不快に感じるかもしれません。ご注意ください。
仕事を手伝うことになった話
2017年、大学の頃からの友人(以下:社長)が、システムエンジニアとして独立するから一緒に仕事をしないかと誘われて一緒に仕事をはじめました。
誘われたときは私も会社を辞めてちょうど目標を見失っていた時期でした。
他でアルバイトをしていましたが、毎月一定の収入を得られるという確約を条件に社長を手伝うことにしました。
EP01:契約はナシ(?)
報酬は払うが契約はない。
どういった事業を行うのか目標などを話し合う機会があった。
そのときに私は社長に訊ねた。
私「毎月一定の収入を得られるという条件だったけど、何かしら契約を結ばなくていいの?」
社長「契約は要らないよ」
—まぁスタートアップってそんなもんか、と甘く見ていました。
EP02:話が違う、考えの相違、すれ違い
複数人で仕事をしていました。
私はWEBサイトの運営を任されましたが、私が分からないところを社長に聞いても「やっておくよ」の一言。他の人には分からないことは丁寧にやり方を教えているという状態でした。
社長が仕事でどこまで私に求めていたのかわかりませんが、どんな形であれ私としては仕事。任されていることに関連した書籍を読み漁りました。他サイトのレイアウトで良さそうなものがないか探し、需要があるのに投稿数が少ないジャンルを探してサイトに反映させていました。
あるときWordPressのテーマのレイアウトをカスタマイズしたかったのですが、分からない箇所がありました。その辺り経験があった社長に私は何度か教えてほしいと頼んだことがありました。
私「WEBサイトの構成やデザインに関連したことを教えてほしいんだけど。今後の仕事にも関わってくることだからさ。」
社長「君はやらなくて大丈夫」
社長が教えてくれることはありませんでした。
—当時、方針や気持ちに少しすれ違いがあるなと思っていました。
EP03:社長に引き止められる
1年ほど一緒に仕事をしていましたが、軌道になかなか乗らず、約束の収入もほとんど得られませんでした。
辞めることを考えていたころ…社長に伝えることにしました。
私「収入にならないならもう辞めたいんだけど」
社長「君が自分で決めたことだろう??」
と揚げ足を取ってきました。
その他にも社長は挑発的なことをいうので私は…
私「それは一定の収入を得られるという確約、前提条件があったからだろう。話が違うなら辞める」と伝えました。
社長「そういえば、そうだったな…」とつぶやき
社長は「少し考えさせてほしい」と言いました。
1週間後に食事に行くことになり、そのときに社長から「君のことは信頼している。今後も続けてほしい。報酬は毎月しっかり払う。」と言われ、他のメンバーからも引き止められました。
—任されていた仕事自体は嫌いではなかった。
—報酬が約束通り払われるなら… 私は、その時は承諾しました。
EP04:プライベートと仕事の境目
その後、約束通り報酬が払われるようになったあるとき、私が任されていたWEBサイト運営が少し軌道に乗ってきた。
社長は一度も恋人ができたことがなくそのことを長年悩んでいました。
当時の私は、感謝している気持ちがあった。もっと仕事が円滑に進んで交友関係も良くなればと考えていました。
せっかくなら仕事でも関われるような女の子が良いと思い、デザインに強い娘を社長に紹介しました。
—これがそもそもの間違いでした。
結果的に女の子と社長は付き合うことになりました。
そのとき社長は…
- 「KEISEI君には感謝している。素晴らしい女性を紹介してくれて。本当に感謝している。」
- 「XYZの案件や〇〇の案件を任せたいと思う。1案件50万円くらいだ。」
- 「他にも何かあれば力になりたい。」
- 「ほんとうに感謝している。」
- 「足を向けて寝れないなー」
などと言っていましたが、何一つ実現しませんでした。
EP05:社長のいい加減な言動
社長に彼女ができてから社長が一生懸命仕事に励んでいる姿を見ることが増えました。
ちょうど同じ時期からコソコソしている様子が目立つようにもなりました。
それとなく私が社長に聞いてみたら…
私「なにか新しいことでもはじめるの?」
社長「さぁ、君には関係ないし、君は気にしなくて大丈夫」
あるとき社長から「彼女と婚約したんだ…」と言われ、続けて「実は君への報酬が払えないんだ…」と告げられました。
当時の私は(今後の関係もあるし…仲間・友達だしな…)と考えていたこともあり、その時は承諾しました。
しかし翌日、社長のSNSに「ダイソンの掃除機買いました~」という投稿が… ダイソンの掃除機は3万円~8万円はしますが…
—本当に報酬は払えなかったのか?
あるとき、私が以前言っていた案件の話について社長に訊ねると
私「そういえば、前にXYZや〇〇の案件任せたいって言ってたけど、その後どうなったの?」
社長「さぁ?そんなこと言ったっけ??そういえば、君もさぁ。独立したら??応援するからさあ~~」
社長の曖昧な返答に、私は思わず苦笑い。
またある日、食事に行ったときに友達Aが社長に「お前、KEISEI君に感謝しろよ」と言った。
社長は真顔で「なんで彼に感謝しなきゃダメなんだ??彼が居なくても僕らは結ばれる運命だったんだよ。彼に感謝なんてナイナイ。それにしても彼(KEISEI)はなんで独身なんだろうね。」という発言に私は苦笑い。
—同じような場面を見聞きすることが日に日に増えていきました。
EP06:社長とケンカ別れ
しばらくして、私のミスが原因で損失を出してしまい、そのことでケンカになりました。
通話にて、社長「損失についてどうするの?弁償してくれるの?」
一方で、私はこれまでの社長の態度・言動に相当頭にきていた。
ここは大人として一言謝れば良いところを私は…
私「少し察してくれないか」と伝えました。すると、社長はオウム返しをしてきた。
社長「察してくれ~察してくれ~」
私「そういうところが人から反感を買うんじゃないのか?」
と言うと…
社長「よくもまぁ俺にそんなこと言えるな?それは悪く捉えられてもいいってことだよな?金のことはどうでもよかったけど、どうやら君には反省が足りないようだ。まぁせいぜいその無駄に高いプライドでひとりでやっていけばいい!!」
と言い放ち、私が反論する合間もなく、社長は通話を切った。
しばらくして私に非があったと思い、一言詫びようと連絡を試みましたが、SNSも電話も通じません。
紐づけされていた管理アカウントも音信不通、全滅です。
—社長にとって私は用済みだったのでしょう。
その後、社長は法人化して、他の誰かとまた新しい業務をはじめたようです。
私が紹介して婚約したという女の子とその後どうなったのか。私の知るところではありません。
うまくいかなかった原因とは…
落ち度は双方にある
仕事がうまくいかなかったことは、お互いに落ち度があったと思います。
例えば…
- 契約の不明確さ:友人関係に甘え、正式な契約を結ばなかった結果、金銭面や業務内容でトラブルが発生。
- コミュニケーション不足:業務の内容や役割分担について話し合いが不十分で、意見の食い違いや誤解が生じる。
- プライベートと仕事の混同:仕事と個人の関係を分けられず、個人的な感情や問題がビジネスに影響を与える。
- 報酬の不履行:約束された報酬が支払われない状況や、それに対する誠意ある対応がなかった。
- 信頼の崩壊:手のひら返しや不誠実な言動が続き、最終的に友人関係も破綻。
などです。
ざっくりいうと「準備ができていなかった」ということです。
ではどうすればよかった?
- はじめから契約を結ぶ
- 信頼していたからこそ話し合う
- 相手を信頼&リスペクトして仕事を進める
といったように、曖昧にせずにはじめから話し合いでルールを決めることが必要だったと思います。
またもう少しお互いにリスペクトがあれば…気づくこともできたかもしれません。
起業した友達との仕事は失敗に終わったが学びはある
友達が起業して、一緒に仕事をして成功した…
という話を耳にしますが、そんなことはただの夢物語です。
私の場合、お金の被害は最小限でしたが、こころ・自信を取り戻すのに時間がかかりました。
また今回の出来事で「友達と仕事をすることの難しさ」と「人にいいように使われる危うさ」を強く感じました。
信頼していたからこそ、契約書も交わさず、言われたことを素直にやっていた。
でも、報酬は途中で支払われず、感謝もされないまま、気づけば自分だけが損をしていたような気持ちになった。
何も言わなければ都合よく動いてくれる存在………
そんなふうに見られていたのかもしれません。
すべてが自分の判断ミスだったとか、すべてが相手の過失とまでは言い切れませんが、お互いが不満を抱えたまま、ぶつかるタイミングだけが悪く重なって、最悪の形で関係が終わってしまった。
この経験から学んだことは…
- どんなに仲が良くても、仕事をするなら契約書を交わす
- 感情が高ぶっているときこそ、一歩引いて冷静になる勇気を持つ
- 信頼しているからこそ、確認と話し合うことを忘れてはいけない
ということです。
これはいまでも仕事で気をつけていることです。
悔しさをバネに前を進むしかない。だからこそ、同じようなことで傷つく人が少しでも減るように、正直な気持ちをここに残しておきます。
もしも「起業するから独立するから手伝わないか」と人から誘いがあったときは、一度立ち止まって考えてほしい。
それでも【誰々と起業したい】【誰々と独立したい】【誰々を手伝いたい】というなら、失敗しないようにしっかりと準備をしてから動いてください。私のときと同じ結末にはなってほしくないので。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上、ご参考まで。
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