世に蔓延る「改造ポケモン」の見分け方、問題点、公式の対応などについて解説しています。
※定期的に修正・追記します。
改造ポケモンとは
改造ポケモンとは、外部ツールを用いてデータを改ざんした「ポケモン(改造個体)」や「ポケモンのゲームソフト」のことを指します。この記事では、前者の「改造個体」について扱います。
有名な外部ツールとしては、プロアクションリプレイ、コードフリーク、POKESAV、PKHeXなどがあげられます。これらのツールを使うことで、通常では入手困難なポケモン、本来出現しない場所で入手したポケモン、未解禁の色違いポケモン、ステータスの変更などのチート行為が行えます。
改造を個人で楽しむ分には問題ありませんが、第三者に正規個体と偽って譲る、販売する、あるいは大会に参加するなどの行為が問題となっています。
データを改造するとどうなるのか
データを改造すると、チート行為が可能になります。一方でソフトの動作が不安定になったり、ゲームプレイ中にエラーが起こりやすくなります。最悪の場合はゲームデータが破損します。
例外として、交換などで改造ポケモンを手に入れてしまった場合、その改造ポケモンを逃がすことで、受取側のゲームデータでは不具合が発生することはありません。
乱数調やバグ、任意コードなどについて
乱数調整について
乱数調整(〇〇ループ)はゲームの疑似乱数の仕組みはゲームの疑似乱数の仕組み(特定の規則性など)を利用して特定のポケモンを出現させたり特定のイベントを発生させる手法のことです。
乱数調整では、ゲームデータを改造(改ざん)することはありません。よって改造行為には分類されません。
バグ(不具合)について
バグはゲームのプログラムのミスなどで発生する不具合のことです。
ポケモンで代表的なバグは「ポケモンのコピー」「道具の増殖」「本来覚えない技を覚えさせる」「特定のアイテムが必要な場所に移動する」「任意コード」などがあげられます。
最新作ポケモンSVの「ドーブルバグ」が話題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
バグは正規の手段ではなくグレーな手法です。内容によっては改造行為に分類されます。また使い方を間違えると、データが破損する場合があります。
任意コードについて
任意コード(セレクトバグ、ザロクバグなど)は、プログラムのミスやバグを利用して任意のコードを呼び出し、好きなポケモンを作り出したり個体値などのデータを書き換えることができる手法のことです。
具体的には、ポケモン緑でオセロが遊べたり、エメラルドで誕生の島に行けたり、ポケモンの個体値を書き換えることも容易く、チートツールでの改造と同じことができます。
任意コードは正規の手段ではなくグレーな手法です。個体値情報の書き換えなど内容によっては改造行為に分類されます。また使い方を間違えると、データが破損する場合があります。
その他(ラズパイによる自動化など)
ラズパイなどを用いた自動化はデータの改造行為ではありません。
改造行為の問題点
不正な個体が流通する:改造を見破るのが難しい
ステータス(個体値、覚えている技など)が異常な改造ポケモンの場合は、対戦や交換、ポケモンバンクなどで次世代へ転送すると「ポケモンに問題があるため~」や「中身に問題のあるポケモン~」と表示されてシステムで弾かれます。
また対戦・大会などで改造ポケモンを使用した場合はペナルティが課せられることがあります。
しかしそれ以外の改造ポケモン(例:正規の手段で入手したポケモンと全く同じ個体値の改造ポケモン)は対戦での使用や交換、次世代へ転送できてしまいます。現在でもマジカル交換などで正規個体と見分けがつかない改造ポケモンが大量に流れていることが問題です。
罪に問われるケース:改造ポケモン販売で逮捕される
データの改造(改ざん)は、個人で楽しむ分には特に問題にされることはありません。
しかし改造した理由や内容(改造したポケモンを販売するなど)によっては「不正競争防止法」「著作権法」などで逮捕される可能性があります。
NintendoSwitchのセーブデータを改ざんして作成したポケモンを販売したとして、2021年には23歳の男性が「不正競争防止法違反」で逮捕、2024年には36歳の男が「不正競争防止法違反容疑」で逮捕されたことが話題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか。
不正ポケモン使用:大会参加者は「改造個体」の使用率が高い
2023年に開催された「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」で改造ポケモンを使用した選手が複数人失格になった話は記憶に新しいですが、2023年11月7日には海外メディア「Gameland.gg」で大会を失格になったBrady Smithさんのインタビューが公開されました。
インタビューでは ”ポケモンのトッププレイヤーの8~9割は自分で改造したり、改造したポケモンを使っている。知っている人なら誰でも知っていること。”
”私はポケモンの育成に興味がない。競争力のある試合がしたいだけだ。”
”いままで公式は改造ポケモンを厳しく取り締まることはなかったが、今回から厳しく取り締まるようになった。育成に時間がかかることが競技(eスポーツ)への参入の妨げになっている。”と述べていました。
インタビューを一部抜粋しましたが、これが本当であれば、時間がかかる育成より対戦構築に時間をかけたいと考えている大会参加者の間で改造が横行するのも自然な流れかもしれません。しかし不公正ですね。
また改造ツール「PKHex」の制作者「kurt」によって、大会での改造ポケモンの使用率は海外のユーザーに多いことが報告されています。
URL:https://gameland.gg/pro-pokemon-player-says-80-90-of-pokemon-pros-are-hacking/
参考(2):kurtのXポスト(2023/08/19)
URL:https://x.com/Kaphotics/status/1692728098410701104
ポケモン公式の対応
ポケモン公式は、改造や不正行為に対して厳格な対応をしています。
悪質な改造行為:利用制限または停止
2022年、ポケモン公式から不正に改造されたデータを利用しているユーザーへの対応が公表されました。
改造ポケモンで大会に参加:失格
2023年に開催された「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」では参加した選手が不正なポケモンを使用していたことから失格になりました。
このほか身近なところではレート戦で改造ポケモンだと発覚した場合も利用が制限または停止になることがあります。
もしも改造ポケモンを受け取ってしまったら…
改造の疑いがあるポケモンは必ず逃がしましょう。
中古で買ったゲームソフトに、ポケパークの限定上映で貰えたハドウの「レジロック」「レジアイス」「レジスチル」、未使用の「ふるびたかいず」「しんぴのチケット」など、珍しいポケモンやアイテムが入っていた。マジカル交換やGTSなどの通信交換で色違いのポケモンが手に入った。
珍しいポケモンは手元においておきたいと思う人のほうが多いと思いますが、もしそのポケモンたちが改造ポケモンだったら、将来的にアカウントがBANされてしまうことが考えられます。
中古のソフトや他人から貰ったポケモンで、わずかでも改造の疑いがあるポケモンは逃がすことを推奨します。
改造ポケモンを見分けるポイント、判断材料
改造ポケモンを見分ける際に注目したいのが「ID」「親名」「出会った場所」「ボール」「もちもの」「レベル」「性別」「個体値」「特性」「リボン(証)」「言語」などの情報です。
該当箇所が多い場合は改造ポケモン(改造個体)と判断して問題ないと思います。
入手経路
【GTS】【マジカル交換】【中古ソフト】【全国図鑑コンプ!育成済み多数!最強データ!と謳ったゲームソフト】【育成代行】【乱数代行】などで手に入れたポケモンは改造個体率が高い。
特にフリマサイトでよく見かける【全国図鑑コンプ!最強データ!】【育成代行】【乱数代行】の中でもGBA・DSのソフトは、セーブデータを複製・改造しているケースが多い。
ゲームソフトの入手経路には、一層の注意が必要です。
トレーナーID
トレーナーIDは通常「ランダム」に決定されます。
一部のゲームソフトでは、乱数調整(◯◯ループ)を利用して任意のトレーナーIDを設定することも可能です。しかし、改造によってIDが変更されている場合も多く、トレーナーIDだけでは正規個体か判断することはできません。判別する際は、他の要素もしっかり確認して総合的に判断しましょう。
配布ポケモンや特別なポケモンには、公式で固定された「トレーナーID」が設定されています。
正規の配布個体とトレーナーIDが異なる場合は、改造の可能性が高いと考えられます。
例:親名「ハドウ」のミュウのトレーナーIDが「99999」や「1234567」の場合など。
名前(親名、ポケモンのニックネーム)
トレーナーの名前やポケモンのニックネームが「サイト名」「ドメイン名」「文字化けしている」「特殊文字を使っている」「文字数を超えている」などの場合は、改造個体の可能性が高い。
特にマジカル交換などでよくみかける名前が「◯◯.com」や「XX.xyz」などのポケモンは100%改造個体です。
ステータス(名前、レベル、特性、個体値、技など)
レベル
捕まえたとき・出会ったときのレベルも判断材料のひとつになります。
例えば、レジスチルと出会ったときのレベルがLv.3やLv.100は通常プレイではありえません。改造個体と判断できます。
特性
夢特性や本来の特性ではない場合は、改造個体。
例:ふしぎなまもりミカルゲや頑丈ヌケニンなど。
個体値
配布ポケモンや厳選個体を除き、個体値が6V、0A、0Sなどの理想個体や、努力値がすでに振られている場合は、改造個体の可能性が高い。
技
配布ポケモンを除き、本来覚えることができない技を覚えているポケモンは改造個体の可能性が高い。
例:ガブリアスが竜舞を覚えている、レジアイスが絶対零度を覚えているなど。
もちもの
高価な道具や珍しい道具を持っている場合、改造個体の可能性が高い。
出会った場所・出身地マーク
出会った場所
ポケモンのトレーナーメモ(おもいで)に記載されている「◯◯道路でLv.XXのときに出会った」「とおいばしょで出会った」「運命的な出会いをした」などの表示で見分けることができます。
例えば、ORASで捕まえたデオキシスは「運命的な出会いをした」と表示されるが、改造個体では表示されない。
世代や地方など出会った場所の表示は判断材料のひとつになります。
産地マーク(出身地マーク)
出会った世代ごとに付いている【産地マーク】で見分けることができます。
産地マークは、カロスマーク(XY、ORAS)、アローラマーク(SM、USUM)、GBマーク(VC版:赤緑青黄、金銀クリスタル)、GOマーク(ポケモンGO)、ピカブイマーク(ピカブイ)、ガラルマーク(剣盾)、シンオウマーク(BDSP)、ヒスイマーク(LA)、パルデアマーク(SV)の9種類があります。XY、ORASよりも前のソフトで捕まえたポケモンにはマークが付きません(いわゆる「マークなし」)。
例えば、パルデアマーク付きのレジロックが交換で手に入った場合、パルデア地方ではレジロックが出現しないため、改造個体と判断することができます。
ボール
ポケモンが入っているボールによって判別することができます。
例えば、プレシャスボールに入ったレジロックを交換で手に入れた場合、レジロックがプレシャスボールに入っている個体は存在しないため、改造個体と判断することができます。
リボン(証)
特定のポケモンに付いている「リボン・証」の有無で判別することができます。
例えば、公式配布のリコのニャオハには「クラシックリボン」と「パートナーリボン」が付いています。
他人から譲ってもらった公式配布のリコのニャオハに「リボンが付いていなかった」場合、リボンが付いていない個体を改造個体と判断することができます。
色違い未解禁のポケモン
「伝説・幻のポケモン」「特別なポケモン」「色違いが未解禁のポケモン」には、色違いブロックルーチンが設定されていることが多い。このブロックルーチンが設定されているポケモンの色違いは通常出現しません。
色違いが出現しないポケモンを知っておくことで改造個体を判別することができます。
例えば【ケルディオ】【メロエッタ】【オーガポン】【テラパゴス】【モモワロウ】の色違いは野生では出現しないため、改造個体と判断することができます。
このブロックルーチンが設定されている場合、伝説や幻、特別なポケモンの色違いが出現しません。
実例を紹介
例:剣盾・SVの改造ポケモンの特徴
この「色違いイワンコ」例に説明すると、まず名前が「スパムサイト名(ドメイン名)」。
ステータスは「色違い」「個体値6V」「努力値AD252振り」「技PP最大値」「隠れ特性(夢特性)」などの理想個体。
いずれも改造ポケモンの特徴と合致しています。
- 名前が「ドメイン名」
- 色違い
- テラスタイプが「草タイプ」
- レベルが「Lv.5」
- 持ち物が「特性パッチ」
- 技のPPがすべて最大値
- 6VでAD252振り
- 特性が「隠れ特性(夢特性)」
仮に「名前」を抜きにしてステータスのみを見たとしても、マジカル交換などでこんな理想個体を交換に出すことは考えにくい。100%改造ポケモンである。
この「色違いイワンコ」は判別しやすいですが、巧妙に偽装された改造ポケモンは流石に見破れません。巧妙さはミー◯ホープ並です。
そのほかの主な改造例
- 例:個体値がALL「999」だった
→ ポケモンにはそれぞれ種族値が決まっている。個体値が全て999のポケモンは存在しない。紛うことなき改造個体。 - 例:全てのステータスに努力値が「255」ずつ振られていた
→ 努力値の仕様は各世代で異なるが、SV環境では全てのステータスに努力値を255ずつ振ることはできない。紛うことなき改造個体。 - 例:経験値が「-39万」になっていた
→ 通常プレイで経験値がマイナスになることはない。実在した改造個体。 - 例:親名が「スパム.com」になっていた
→ 自身のスパムサイトを宣伝するために作った改造個体。違法。 - 例:アゲトのセレビィの親IDが「12345」、出会ったときのレベルがLv.2だった
→ 正規個体のアゲトのセレビイのIDは「31121」、もらったときのレベルは「Lv.10」固定だ。紛うことなき改造個体。 - 例:ジラーチが「サファリボール」に入っていた
→ 現在のところ、ジラーチの野生個体は登場していない。紛うことなき改造個体。 - 例:デオキシスに「ナショナルリボン」がついていた
→ ナショナルリボンは、ポケモンコロシアム並びにポケモンXDで登場したダークポケモンたちをリライブしたときのみ付与されるリボン(証)。それ以外は改造個体だ。 - 例:オーガポンの「性別がオス」だった
→ オーガポンは性別がメスのみ。オス個体は存在しない。改造個体。 - 例:XD産の金属音サンダーが「色違い」だった
→ ポケモンXDで登場するダークポケモンは色違いが出ない。紛うことなき改造個体。 - 例:ヤミラミの特性が「ふしぎなまもり」だった
→ かつて最強だった改造個体。 - 例:レジアイスのおもいで(トレーナーメモ)が「ジョウト地方からやってきたようだ」になっていた
→ レジアイスはジョウト地方を舞台にした「HGSS」では入手できない。改造個体。 - 例:アーボックが「ちょうはつ」を覚えていた
→ アーボックは「ちょうはつ」を覚えない。実在した改造個体。 - 例:ガブリアスが「りゅうのまい」を覚えていた
→ ガブリアスが覚えるのは「つるぎのまい」。竜舞ガブは存在しない。実在した改造個体。 - 例:ドリュウズのニックネームが「BWしようちゅう6文字!」になっていた
→ 言語や世代によって名前の文字数は異なるが、日本語で12文字は不可能。BW時代に実在した改造個体。 - 例:通信交換で「交換不可能なポケモン(例:日食・月食のネクロズマ)」「ゲーム本編で実装されていないポケモン」が流れてきた
→ 交換不可能なポケモンは100%改造個体。 - 例:コライドンの捕まえた場所が「サバンナエリア(ブルーベリー学園)」だった
→ ドーブルバグで捕まえた個体または改造個体。
etc.
まとめ:STOP!改造ポケモン!
改造行為は、個人で楽しむ分には問題ありませんが、第三者に正規個体と偽って譲る、販売する、大会に参加するなどはダメ。
改造ポケモンは買わない、売らない、譲らない。
もしも改造ポケモンかも!怪しい!
と思ったら「逃す」一択です。
特に最近はゲーム本編のポケモンを育成する環境が整っているので、よほどのことがない限りデータを改ざんしてまで改造ポケモンを生み出すメリットは皆無です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
以上、ご参考まで~
コメント
交換できたカイオーガが安全そうだったけど、出会った場所がオージャの湖だったw
コメントありがとうございます。
少しネタバレになりますが、
「カイオーガのおやつ」でパルデア地方のオージャの湖の北側(ありがた岩 付近)に出現するカイオーガは、捕まえると「オージャの湖で Lv.70のときに 出会った。」という表記になります。
レベルや技などに問題なければ正規個体だと思いますよ。
アシマリがガラル地方から時間と空間を超えてはるばるやってきたようだ、と書いてあるのですがusumかsmから持ってきた場合どのように表記されるのでしょうか?
改造ダメゼッタイ さん
コメントありがとうございます。
他ソフトからポケモンSVに連れてきたという話しであれば、
アローラ産「アローラ地方から 時間と 空間を こえて はるばる やってきたようだ」
ガラル産「ガラル地方から 時間と 空間を こえて はるばる やってきたようだ」
という表記になります。
※アローラ産=SM/USUM
※ガラル産=剣盾
ご参考まで。
知らない人と交換したのですが色ちがいミュウツーでゲームボーイのマークがあって持ち物はモーモーミルクですモンスターボールで捕まえられてますリボンなしでIDNo.36621です改造ですか?良ければ教えてください
コメントありがとうございます。
結論からお伝えしますと、言語、親名、特性、技構成、個体値、交換に使用したソフトなどの情報がわからないと何とも言えません。
ただ一般的にポケムーバーDL終了で、入手難易度が高いGBマーク付き(VC産)のミュウツーの色違いを交換に出すということは稀だと思います。
ご参考まで。